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人材推薦状(推薦文)の書き方・テンプレート|3ブロック構成と例文・NG表現

執筆:宮崎将成(株式会社エボルグ 代表取締役)

公開日:2026-10-09 ・読了目安:12分

人材推薦状(推薦文)とは、人材紹介会社のキャリアアドバイザー(CA)が求職者を求人企業に推薦するときに、履歴書・職務経歴書に添えて企業へ提出する書面です。大学入試や就職活動で教授・恩師が書く推薦状とは別のもので、書き手は紹介会社の担当者、読み手は企業の書類選考担当者にあたります。中身は①推薦理由(求人要件と経歴の対応づけ)②懸念点と補足(満たしていない要件と、それを補う根拠)③面談所感(書類から読み取れない人物像と転職理由)の3ブロックで組み立てるのが基本形です。法定の様式はなく、書式は自由です。ただし中身は自由ではありません。求職者の個人情報は業務の目的の達成に必要な範囲内でしか保管・使用できず(職業安定法5条の5第1項)、人種・民族・社会的身分・門地・本籍・出生地、思想及び信条、労働組合への加入状況は、そもそも収集してはならない事項として指針に列挙されています(平成11年労働省告示第141号 第五 一(二))。

「推薦状 書き方」で検索すると、大学入試の推薦書や、就職活動で恩師に依頼する推薦状の記事が多く並びます。本記事が扱うのはそれらではなく、人材紹介会社のCA・RAが求人企業に対して出す推薦文です。書き手も読み手も、目的も別物なので、テンプレートを流用しても機能しません。

推薦文は、紹介会社が書類選考に対して出せる唯一の追加情報です。職務経歴書は求職者本人が書いたもので、企業はそれを他社経由の応募者と同じように読みます。そこに紹介会社が何を足せるかが、推薦文の中身です。にもかかわらず、推薦文の型は多くの会社でCAごとにばらついたままで、「前に送った文面をコピーして名前を書き換える」運用が残りがちです。

本記事では、推薦文の3ブロック構成とそのまま使えるテンプレート、架空の求職者を使った例文の全文、評価語だけで書かれた推薦文の添削例、そして法令上書いてはいけないことまでを順に扱います。推薦が落ちる原因の切り分けそのものは書類選考通過率の平均と上げ方|計算式・目安と、推薦が落ちる原因の分解で扱っており、本記事はそのうち「推薦文の質」を正面から引き受ける実務編です。

人材推薦状(推薦文)とは|誰が誰に、何のために出す書面か

人材推薦状(推薦文)とは、人材紹介会社のキャリアアドバイザーが求職者を求人企業に推薦するときに、履歴書・職務経歴書に添えて企業へ提出する書面です。紹介会社によって「推薦文」「推薦状」「推薦コメント」「サマリー」など呼び方は変わりますが、指しているものは同じです。企業側の応募管理システムのコメント欄に直接書き込む形をとる場合もあり、書面かメール本文かという形式は本質ではありません。

大学・就職の推薦状とは別物

検索結果に混ざる推薦状は、多くが「大学が学生を推薦する」「恩師が教え子を推薦する」文書です。これらは書き手と対象者の間に指導関係があり、人格や学業への評価が主な中身になります。人材紹介の推薦文はそこが違います。書き手であるCAは求人企業から手数料を受け取る立場で、かつ求人の要件を企業から直接聞いているという情報の非対称性を持っています。企業が推薦文に期待しているのは、人格の保証ではなく、要件に対する当てはまりの説明です。

職務経歴書との役割分担も、ここから決まります。職務経歴書は求職者本人が書いた経歴の記録で、事実の一覧です。推薦文は、その事実のうちどれがこの求人の要件に当たるのかを、要件の言葉に翻訳して示すものです。したがって推薦文に経歴を並べ直すのは、役割の重複にあたります。企業の書類選考担当者は同じ情報を2回読むことになり、推薦文でしか伝えられない②懸念点や③面談所感に割ける分量が減ります。

推薦文には決まった様式がない

求人票のように法令で明示事項が決まっている書面とは違い、推薦文には法定の様式も、必須項目の定めもありません。職業紹介事業者に課されているのは、求職者に対する労働条件の明示(職業安定法5条の3第1項)や、求人等に関する情報を正確かつ最新に保つ措置(同法5条の4第3項)といった別方向の義務であり、推薦文の書式を縛る規定は置かれていません。企業ごとに指定フォーマットがある場合はそれに従い、なければ自社の型を決めることになります。求人票側の必須項目は求人票の書き方・テンプレート|必須項目と「決まる求人票」の作り方にまとめています。

様式が自由である一方、書いてよい内容には法令上の線が引かれています。求職者の個人情報の取扱いにかかる制約で、これは推薦文が「面談で聞いた話を第三者である企業に渡す文書」である以上、必ず通る論点です。詳しくは後半の書いてはいけないことで扱います。

推薦文のテンプレート|3ブロック構成と例文

推薦文の型は、企業側の問いに順番に答えるという発想で作ると崩れません。書類選考担当者が推薦文を読む順序は、だいたい「要件を満たしているのか」→「満たしていない部分はあるのか」→「会う価値がある人物か」です。この3つに対応させたのが、次の3ブロック構成です。

推薦文の3ブロック構成

  • ①推薦理由

    企業の問い:この人は、この求人の要件を満たしているのか?

    • ・必須要件を1つずつ挙げ、該当する経験を対応づける
    • ・実績は数字で書ける範囲だけ数字にする
    • ・歓迎要件に当たる部分があれば併せて示す
  • ②懸念点と補足

    企業の問い:満たしていない要件は何で、それは埋まるのか?

    • ・要件との差分を、企業が気づく前に先に書く
    • ・補える根拠(近接領域の経験・現在の学習状況)を添える
    • ・面談で確認した事実だけを根拠にする
  • ③面談所感

    企業の問い:書類から読み取れない人物像と、転職の本気度は?

    • ・転職理由と志望動機がつながっているかを示す
    • ・面談で観察した具体的な行動を書く
    • ・本人の同意を得た範囲の条件面・事情を伝える

3ブロックの外に置くもの

経歴の羅列は職務経歴書の役割で、推薦文には置かない。企業が同じ情報を2回読むことになり、 推薦文でしか伝わらない②③に割ける分量が減る。

図1:推薦文の3ブロック構成と、各ブロックが答える企業側の問い。法定の様式はないため、本構成は本記事が推奨する型であり、 法令や公的基準で定められたものではない。

ブロックごとの要素と分量

各ブロックに何を入れるかを一覧にします。左の列をそのまま自社テンプレートの見出しとして使えるように並べました。分量の目安は本記事が推奨する配分であり、法令や公的な基準で決まっているものではありません。

ブロック企業が知りたいこと書く要素分量の目安(推奨)
① 推薦理由この人はこの求人の要件を満たしているのか必須要件ごとの該当経験/数字で書ける実績/歓迎要件への該当全体の約半分
② 懸念点と補足満たしていない要件は何で、それは埋まるのか要件との差分/補える近接経験・学習状況/面談で確認した事実全体の約4分の1
③ 面談所感書類から読み取れない人物像と、転職の本気度転職理由と志望動機の一貫性/面談で観察した具体的な行動/本人の同意を得た範囲の条件面全体の約4分の1
(冒頭)宛名と一文誰を、どのポジションに推薦しているのか企業名・ポジション名・求職者の記号(氏名は企業の運用に合わせる)2〜3行
(末尾)依頼次に何をしてほしいのか書類選考の依頼/面談設定の希望/回答期限があればその旨1〜2行

全体の分量は、A4用紙1枚に収まる範囲に収めるのが実務上扱いやすい水準です。書類選考担当者は職務経歴書と併せて読むため、推薦文だけで数枚になると、肝心の②③まで目が届かなくなります。文字数を法令が定めているわけではないので、社内で1つ決めて揃えるのが目的です。

例文(架空の求職者・求人企業)

3ブロックをそのまま埋めた例文です。登場する人物・企業はすべて架空で、AさんはSaaSの法人営業ポジションに応募する求職者、B社が推薦先、C社が現職という設定にしています。担当社数などの数値は、書き方の粒度を示すための例示です。

推薦文の例文(全文)

人物・企業はすべて架空

件名:【ご推薦】法人営業(カスタマーサクセス兼務)ポジション/Aさん

B社 採用ご担当者様
いつもお世話になっております。標題のポジションにつきまして、Aさんを推薦いたします。

■ 推薦理由

必須要件の「無形商材の法人営業経験3年以上」に対し、AさんはC社で5年間、中小企業向けの採用支援サービスの法人営業を担当しています。 担当は常時30社前後、うち約8割が既存顧客の契約更新です(数値は粒度を示すための例示)。 歓迎要件の「導入後の運用支援経験」についても、C社では提案から運用支援まで一貫して担当しており、 利用状況の落ち込みを検知して先回りで打ち手を出す動き方を、面談で自分の言葉で説明していました。

■ 懸念点と補足

一方で、SaaSプロダクトそのものを提案した経験はありません。 ただし直近1年は自社サービスの管理画面を使った運用提案が業務の中心で、プロダクトを軸にした会話には慣れています。 面談前に貴社の公開資料を読み込んだうえで、導入後の支援体制について具体的な質問をしていました。

■ 面談所感

転職理由は「顧客の課題解決にもう一歩踏み込みたいが、現職では扱える商材の幅が限られている」という点にあり、 志望動機と矛盾していません。面談では結論から述べ、分からないことは分からないと答える方でした。 条件面については、業務内容を優先したいと本人が述べています(本人の了解を得たうえで記載しています)。

ご検討のほど、よろしくお願いいたします。

この例文は、①要件名を引用して対応づける ②満たさない要件を自分から先に開示する ③面談で観察した行動を書く、の3点だけで組み立てている。分量はおおむね600字で、A4用紙1枚に収まる。

図2:推薦文の例文。Aさん(求職者)・B社(推薦先)・C社(現職)はいずれも架空で、実在の人物・企業とは関係がない。 担当社数などの数値は書き方の粒度を示すための例示であり、統計値ではない。

この例文には、企業への評価語(優秀・即戦力・活躍・ぜひ)が1つも入っていません。それでも企業は、必須要件と歓迎要件のどちらに当たるのか、何が足りないのか、面談で何を確認したのかを読み取れます。推薦文の情報量は、形容詞ではなく、要件名と事実の対応づけで決まります。

通る推薦文の書き方5原則

テンプレートを埋めるだけでは、書き手によって中身の濃さが変わります。ここからは、埋め方そのものの原則を挙げます。どれも「通過率が何%上がる」と測れる話ではありません。推薦文の効果を切り分けて測った公開統計は確認できないため、本記事では効果の数値化はしていません。以下は実務上そう扱われることの多い型として読んでください。

  • ① 求人の必須要件を分解してから書き始める:推薦文を書く前に、求人票の必須要件を箇条書きに割ります。「無形商材の法人営業3年以上」「マネジメント経験」「SaaS業界の知見」のように分けたうえで、1つずつ該当する経験を当てていく。この順序で書くと、要件への言及漏れが構造的に起きなくなります。逆に、経歴を先に書き始めると、必ず職務経歴書の要約になります。
  • ② 評価語を使わず、事実と数字で書く:「優秀」「即戦力」「コミュニケーション能力が高い」は、どの求職者にも書けるため情報量がゼロです。担当社数、既存と新規の比率、扱った商材、面談での具体的な受け答え。検証できる事実に置き換えられるものだけを残します。数字を書けない実績は、無理に数字にせず、行動の記述にとどめます。
  • ③ 満たしていない要件は、企業が気づく前に自分で書く:要件との差分は、選考の途中で必ず露見します。書類で伏せて面接で発覚すると、その求職者が落ちるだけでなく、紹介会社の推薦そのものが信用されなくなります。先に開示したうえで補える根拠を添えると、企業は「この会社は要件を理解している」と読みます。懸念を書ける推薦文は、求人を理解できている推薦文でもあります。
  • ④ 事実と、CAの見立てを文の中で分ける:「面談では〜と述べていました」(事実)と「〜が期待できると見ています」(見立て)を混ぜないことです。企業は事実と評価を分けて読みたいので、混ざっていると全体の信頼度が下がります。見立てを書くこと自体は問題ではなく、見立てだと分かる形で書けばよい、というだけです。
  • ⑤ 盛らない。埋もれている事実を要件の言葉に翻訳する:推薦文の役割は、経歴を良く見せることではなく、企業が要件の言葉で読めるように翻訳することです。本人が言っていないことを書けば面接で齟齬になり、企業と求職者の両方を失います。事実と異なる内容は、後述する個人情報の取扱い以前に、紹介会社としての信用の問題です。

この5つは、求人への理解が浅いままだと①の時点で止まります。採用背景、過去に通った人・見送られた人の傾向、社内の誰が書類を見るのか——ここを掴む方法は書類選考通過率の平均と上げ方で扱っています。RAとCAが分かれている体制での情報の受け渡しはRA・CAとは|役割の違いと、両面型・分業型の使い分けを参照してください。

NG表現と言い換え|推薦文の添削例

実際に送られている推薦文で、繰り返し見かける表現を挙げます。法令上書けないものと、書けはするが情報として機能しないものが混在しているため、理由の列を分けています。

よくあるNG表現なぜ問題か言い換えの方向
「非常に優秀な方です」「即戦力です」評価語だけで根拠がなく、どの求人にもそのまま書ける。企業は判断材料を受け取れない必須要件の名前を引用し、その要件に当たる経験と数字を書く
職務経歴書の内容をそのまま要約する企業は職務経歴書を併せて読むため、同じ情報を2回読むことになる要件に対してどこが当たるかという対応づけだけを書く
「コミュニケーション能力が高い」定義が読み手によって変わり、検証もできない面談で観察した行動(結論から述べる、分からないことは分からないと答える)に置き換える
懸念点を書かない/「特にございません」選考の途中で必ず露見し、見送りと不信の両方が同時に起きる要件との差分を書き、それを補える根拠とセットにする
「◯◯県のご出身で」「ご家族は」本籍・出生地は指針が収集してはならないと列挙する事項に触れうる(指針 第五 一(二)イ)。家族構成も業務の目的の達成に必要な範囲を超えやすい(職業安定法5条の5第1項)書かない。職務に関係する事実だけを残す
「持病はありますが業務に支障はありません」病歴は要配慮個人情報にあたる(個人情報保護法2条3項)。本人の意向を確認せずに企業へ渡してよい情報ではない本人が企業に伝えることを望む場合に限り、伝え方を本人と相談して決める
「他社でも最終選考が進んでいます」面談で得た情報を、本人の同意なく選考スピードの交渉材料として使うことになる伝えるかどうかを本人に確認し、同意を得た範囲で書く

添削のBefore/After

同じ求職者・同じ求人で、評価語だけで書いた場合と、要件と対応づけて書いた場合を並べます。足した情報はほとんどありません。面談ですでに聞いていた事実を、要件の言葉に置き直しただけです。

Before:評価語だけの推薦文

「Aさんは非常に優秀な方です。前職では法人営業としてご活躍され、コミュニケーション能力も高く、 貴社でも即戦力としてご活躍いただけるものと確信しております。ぜひ一度お会いいただけますと幸いです。」

問題:求人要件への言及がゼロで、どの求人にもそのまま送れてしまう。企業は判断材料を1つも受け取っていない。

After:要件と対応づけた推薦文

「必須要件の『無形商材の法人営業経験3年以上』に対し、AさんはC社で5年間、 中小企業向け採用支援サービスの法人営業を担当しています(常時30社前後・うち約8割が既存顧客の契約更新)。 歓迎要件の『導入後の運用支援経験』も、C社で提案から運用まで一貫して担当しています。 一方、SaaSプロダクトそのものの提案経験はありません。直近1年は自社の管理画面を使った運用提案が業務の中心で、 プロダクトを軸にした会話には慣れている点を補足します。」

変えた点:①要件名をそのまま引用して対応づけた ②実績を数字にした ③満たさない要件を自分から先に開示した

図3:推薦文の添削例。書いてある事実の量は変えず、要件との対応づけと懸念の先出しだけを足している。 人物・企業は架空、数値は例示。

Beforeの文面が量産される理由ははっきりしていて、求人要件を分解しないまま書き始めているからです。要件を見ずに書ける文章は、要件と関係のない文章になります。前節の①をルールとして先に置くだけで、この型の推薦文はかなり減ります。

推薦文は、面談で本人から聞いた話を、第三者である求人企業に渡す文書です。したがって求職者の個人情報の取扱いに関する規定が、そのまま推薦文の中身に効いてきます。書式が自由であることと、中身が自由であることは別です。

職業安定法5条の5第1項は、職業紹介事業者等が求職者等の個人情報を収集し、保管し、又は使用するに当たっては、その業務の目的の達成に必要な範囲内で、当該目的を明らかにして収集し、収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならないと定めています(本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合を除く)。推薦文を書くという行為は、この「使用」にあたります。面談で聞いたからといって、聞いたことをすべて書いてよいわけではないという線が、ここに引かれています。

そもそも収集してはならない3類型

この条文を具体化した指針(平成11年労働省告示第141号・最終改正 令和6年厚生労働省告示第318号)の第五 一(二)は、業務の目的の達成に必要な範囲内で目的を明らかにして収集することとしたうえで、次の個人情報を収集してはならないと列挙しています。

  • イ 人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項:出身地や本籍にあたる記述が推薦文に混じることは実際にあります。「地元にUターン希望」のような書き方も、本籍・出生地を示す記述になっていないかを確認してください。
  • ロ 思想及び信条:支持政党、宗教、社会運動への関与などが該当します。面談の雑談で話題に出たとしても、推薦文に残す情報ではありません。
  • ハ 労働組合への加入状況:現職・前職での組合活動の有無を含みます。役職としての経験を書きたい場合でも、組合であることが分かる形では書きません。

ただし指針は但し書きも置いており、特別な職業上の必要性が存在することその他業務の目的の達成に必要不可欠であって、収集目的を示して本人から収集する場合はこの限りでないとしています。実務では例外に当たる場面はほとんどないと考え、原則側で運用するのが安全です。

保管・使用も「収集した目的の範囲内」に限られる

同じ指針の第五 一(五)は、個人情報の保管又は使用は収集目的の範囲に限られるとし、他の目的で保管・使用するには他の目的を示して本人の同意を得るか、他の法律に定めがある場合に限るとしています。さらに同 一(六)は、本人の同意を得る際の要件として、同意を求める事項を可能な限り具体的かつ詳細に明示すること、業務の目的の達成に必要な範囲を超える収集・保管・使用への同意を職業紹介の条件としないこと、本人の自由な意思にもとづき明確に表示された同意であることを挙げています。「登録時に包括同意をもらっているから何を書いてもよい」という運用は、この(六)ロ・ハと噛み合いません。

加えて、病歴・犯罪の経歴などは個人情報保護法2条3項の要配慮個人情報にあたります。健康状態や通院、家庭の事情のように、本人が企業に伝えるかどうかを選ぶべき情報は、推薦文に書く前に本人に確認するというルールを社内で持っておくと、判断が個人の裁量に落ちません。逆に、勤務可能日・転職希望時期・希望条件のように選考の進行に必要な情報は、業務の目的の範囲内として扱えるのが通常ですが、書く内容を本人と共有しておくほうが、後の齟齬が減ります。

※本節は推薦文を書く場面に関わる規定に絞っています。個人情報の適正管理(アクセス制御・保存期間)まで含めた全体像は本記事の範囲外で、スプレッドシート管理の限界はどこかで扱っています。条文の適用は個別の事情によって変わるため、判断に迷う場合は所轄の労働局に確認してください(出典: e-Gov法令検索「職業安定法」/同「個人情報の保護に関する法律」/厚生労働省「職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、募集情報等提供事業を行う者、労働者供給事業者、労働者供給を受けようとする者等がその責務等に関して適切に対処するための指針」(平成11年労働省告示第141号・最終改正 令和6年厚生労働省告示第318号))。

推薦文の質を、組織で揃える

ここまでの内容は、CAが1人ならテンプレートファイル1つで足ります。人が増えると事情が変わります。推薦文の質のばらつきは、たいてい「型を知らない」ではなく「型が手元にない」から起きます。各自がコピーした文面を持ち回っている限り、社内で決めた型は自動では反映されません。

面談記録と推薦文を、別々に置かない

推薦文の②③を書けるかどうかは、面談で何を聞き取れたかで決まります。ところが多くの現場で、面談記録はCAのメモやドキュメントに、推薦文はメールの送信済みフォルダに、選考結果は別の管理表に置かれています。この3つが別の場所にあると、推薦文は毎回ゼロから思い出して書くことになり、書き手の記憶力に品質が依存します。面談記録から推薦文へ転記できる状態、そして送った推薦文と選考結果が同じレコードに並ぶ状態を作るのが、仕組み側の目標です。

  • 推薦文の型を1か所に置き、そこからしか始めさせない:3ブロックの見出しを固定したテンプレートを1か所に置きます。「前回の文面をコピーする」を出発点にすると、古い型が社内で増殖します。
  • 面談で聞くべき項目を、推薦文の②③から逆算して決める:懸念点を補う根拠と面談所感が書けないのは、面談でそこを聞いていないからです。面談シートの項目を推薦文の構成に合わせると、書けない欄が面談の抜けとして見えます。
  • 送った推薦文と選考結果を同じ場所に残す:見送りになった推薦文を後から読み返せないと、書き方の改善が経験則にとどまります。誰がどの求人に誰を推薦し、結果がどうだったかが並ぶ状態が、レビューの前提になります。
  • 新人の推薦文は、送信前に要件との対応づけだけ確認する:全文を添削すると時間が持ちません。必須要件が引用されているか、懸念が書かれているか、この2点だけを見る運用にすると、レビューが続きます。

本メディアを運営するEmproは人材紹介会社に特化したワンストップ型のCRM/MAで、この「記録から推薦へ、推薦から振り返りへ」の流れにあたる部分では次の機能を提供しています。

  • 求職者管理(面談履歴を含む一元管理):レジュメ・希望条件・面談履歴といった登録情報を1か所で管理します。推薦文の②③の材料が、担当者個人のメモではなく求職者のレコードに残ります。
  • 求職者への求人推薦状況の可視化:求職者と求人を紐づけて管理し、誰をどの求人に推薦しているかを一目で確認できます。推薦の記録が個人のメールボックスに散らない状態を作れます。
  • 選考ステータス管理:求職者別の面談・選考進捗を時系列で表示します。送った推薦がどの段階まで進んだかが、同じ画面に並びます。
  • レポート出力:CA別・求人別の選考状況をレポートとして出力できます。どのCAの推薦がどこで止まっているかを見てから、レビューの対象を決められます。
  • AIワークフロー機能(β版):求人票や面談の録画データから項目を自動抽出して入力します(データ入力時間を平均80%削減/*β版機能・当社調べ)。面談記録の作成そのものがボトルネックになっている場合に効きます。

できないことも書いておきます。推薦文そのものを自動生成する機能は、現時点で提供していません。AIが担っているのは求人票・面談録画からの項目抽出と入力(β版)であり、要件との対応づけを書く部分は人が担います。機能の全体像は機能一覧、求人・求職者管理の詳細は求人・求職者管理機能、AI機能はAIアシスト機能にまとめています。

推薦文が通ったあとの局面——内定から承諾までの歩留まりは内定承諾率とは|計算式と60〜65%の目安・辞退理由別の打ち手で、売上目標から必要な推薦数を逆算する設計は人材紹介のKPI管理 完全ガイドで扱っています。

よくある質問

Q. 人材推薦状(推薦文)とは何ですか?

A. 人材推薦状(推薦文)とは、人材紹介会社のキャリアアドバイザーが求職者を求人企業に推薦するときに、履歴書・職務経歴書に添えて企業へ提出する書面です。大学入試や就職活動で教授が書く推薦状とは別物で、企業が期待しているのは人格の保証ではなく、求人要件に対する当てはまりの説明です。中身は①推薦理由 ②懸念点と補足 ③面談所感の3ブロックで組み立てるのが基本形になります。

Q. 推薦文のテンプレートや決まった様式はありますか?

A. 法定の様式も必須項目の定めもないため、公的な公式テンプレートは存在しません。企業から指定フォーマットがある場合はそれに従い、なければ自社で型を決めます。本記事は「①推薦理由(必須要件との対応づけ)②懸念点と補足(満たしていない要件と補う根拠)③面談所感(転職理由と面談で観察した行動)」の3ブロックを推奨しており、本文の表と例文をそのまま自社テンプレートの見出しとして使えます。

Q. 推薦文の文字数の目安はどのくらいですか?

A. 文字数を定めた法令や公的基準はありません。実務上は、A4用紙1枚に収まる分量に揃えるのが扱いやすい水準です。書類選考担当者は職務経歴書と併せて読むため、推薦文だけで数枚になると、推薦文でしか伝えられない懸念点や面談所感まで目が届かなくなります。長さそのものより、社内で1つに揃えて型を固定することのほうが効きます。

Q. 推薦文に懸念点は正直に書くべきですか?

A. 書くほうが実務上は有利です。要件との差分は選考の途中でほぼ必ず露見し、書類で伏せていた場合は求職者が見送られるだけでなく、紹介会社の推薦そのものが信用されなくなります。書き方は「満たしていない要件」と「それを補える根拠(近接領域の経験、現在の学習状況、面談で確認した事実)」をセットにすることです。根拠のない懸念だけを書くと、単に不利な情報を渡しただけになります。

Q. 推薦文に書いてはいけないことはありますか?

A. あります。指針(平成11年労働省告示第141号)第五 一(二)は、人種・民族・社会的身分・門地・本籍・出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項、思想及び信条、労働組合への加入状況を、収集してはならない個人情報として列挙しています。また職業安定法5条の5第1項により、個人情報の保管・使用は業務の目的の達成に必要な範囲内に限られます。病歴などの要配慮個人情報(個人情報保護法2条3項)は、本人の意向を確認せずに企業へ渡す情報ではありません。

Q. 推薦文は求職者本人に見せるべきですか?

A. 法令が開示を義務づけているわけではありませんが、本人に共有する運用にすると、事実誤認をその場で修正でき、面接での齟齬も減ります。とくに条件面や面談で聞いた個人的な事情を書く場合は、書く内容を本人と共有しておくのが安全です。指針は本人の同意について、同意を求める事項を可能な限り具体的かつ詳細に明示し、本人の自由な意思にもとづく明確な同意であることを求めています(第五 一(六))。

Q. 面談記録と推薦文はどう使い分けますか?

A. 面談記録は社内向けの一次情報で、聞き取った内容をそのまま残す場所です。推薦文は企業向けの成果物で、そのうち求人要件に関係する部分だけを、要件の言葉に翻訳して渡すものです。面談記録に書いてよいことと、推薦文に書いてよいことは同じではありません。推薦文の②懸念点・③面談所感が書けないときは、面談で聞くべき項目が抜けているサインとして扱えます。

面談記録から推薦、選考結果までを1か所に残す

Emproは人材紹介会社に特化したワンストップCRM/MAです。面談履歴を含む求職者情報の一元管理、求人推薦状況の可視化、選考ステータスの時系列管理、CA別・求人別のレポート出力までを1つの基盤で回せます。

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